きちんと見てお話したい」。
そうおっしゃって、
質問されるたびに席から立ちあがって、ていねいに、そして熱く語ってくださった金森先生。

思わず身を乗り出して聞き入りました。
先日の金森先生の授業、
「NHK特番で日本中が大絶賛!情操教育の最高峰の“命の授業”」の模様です。
先生が小学校教諭時代に
たいせつにしていた教育モットーは「先生が教える授業」ではなく
「子どもたちが学ぶ授業」だったといいます。
だから
“性の授業”では妊娠7か月の本物の妊婦さんを呼び、“死の授業”では死の淵を経験した
末期がん患者さんを招いて授業をされました。
当時教室に妊婦さんが入ったきた瞬間、
先生がなにも言わなくても子どもたちは次々に問いかけたそうです。

「そんなにお腹が大きくて苦しくないの?」
「赤ちゃんはどうして水(羊水)の中で息ができるの?」「逆子は頭が上を向いているのに、どうして“逆”というの?」
こうやって子どもたちが
自発的に興味をもって質問し学んだことこそが、生きた知識になる。
だからこそ
金森先生はあえて妊婦さんや末期がん患者さんというとてもリアルな事実を子どもたちの目の前に
突きつけたのです。
自然と子どもたちが学ぶ状況を
つくってあげたんですね。なるほど、
わたしたち大人だって一方的な説教を受けるより
じぶんで興味をもって調べたことは覚えます。
ひとになにかを教えるときの
大きなヒントをもらったと思います。
もうひとつ。
先生が児童教育で大事にしていたことに自然や人との「ボディコミュニケーション」がありました。
いまの子どもたちは
動物的感覚が鈍くなっていると先生はいいます。
ある日、先生は驚きました。
小学1年生の子が
顔をすりむいて泣いていたそうです。理由を聞くと
転んだときに反射的に手をつくことができず顔から地面に突っ込んだという話。
そんなふうに
とっさに手を伸ばすという基本的な運動神経さえも鈍くなっている
子どもが増えてきたことに先生は呆然としたそうです。

先生の授業では
子どもたちを積極的に自然の中に飛び込ませます。川原で実習する。どろんこ遊びをする。雪合戦する。
自然の中で行動することで
危険を察知し、危険を避け、危険を予見し危険を乗り越える力が身につく。
生き抜くための力が養われるんです。
先生はどろんこ遊びのときに
「みんなで抱っこー!」といって子どもたち同士で抱き合わせるそうです。
これもボディコミュニケーション。

抱き合うことで
友だちの体温を知り、心臓の鼓動を聞く。そうやって子どもたちは他人の命を実感するんです。
先生はこういう他人の命の肌感覚がない人間が
ひとの命を平気で奪うような殺人者になりかねないことを教えてくれました。
命の実感という面から考えると
ニワトリを殺して食べるという授業も納得できます。
金森学級の生徒たちは
じぶんの命をつくるニワトリを屠殺することから目をそむけずに、堂々と事実と向き合ったそうです。
先生の話をうかがっていると
子どもたちは大人が思っている以上にしっかりしていることがよくわかりました。

先生は辞職をかけてまで授業を実行したそうです。
最後にどうして金森先生は
“命を教える授業”にこだわったのか。じつは先生は20代のころに
交通事故に遭い、九死に一生を得たそうです。あと30cm当たるところがずれていたら死んでいた。
そのときにわたしたちの人生に
「明日は約束されていないな」と思ったそうです。明日終わるかもしれない人生。
一回限りの人生。だったら、そんなにまわりに気を使わずに
もっとじぶんに素直に生きてもいいんだな、と考えられたそうです。そのためにはじぶんを助けてくれる人が必要です。
じぶんを応援してくれる人を大事にしなければいけない。人や社会に対して心をひらかなければ、
応援してくれる人は寄ってこない。
じぶんらしく生きることのすばらしさ。
人や社会とのつながりの中で生きるたいせつさ。そういうものを子どもたちに教えたかった、
そんなふうにわたしは先生のお話を受け取りました。
ここに書いた以上に
もっとたくさんのことを金森先生は教えてくれました。ほんとにおもしろい授業でした。
金森先生のお話をこれから何度も反芻して考えたいと思います。
あらためてお礼をいわせてください。
金森先生、本当にありがとうございました!







