どうして授業でニワトリを殺して食べたの?

2009.12.24

「みなさん1人ひとりの顔を
きちんと見てお話したい」。

そうおっしゃって、

質問されるたびに席から立ちあがって、
ていねいに、そして熱く語ってくださった金森先生。

091222-8.jpg

思わず身を乗り出して聞き入りました。

先日の金森先生の授業、

「NHK特番で日本中が大絶賛!情操教育の最高峰の“命の授業”」
の模様です。

先生が小学校教諭時代に

たいせつにしていた教育モットーは
「先生が教える授業」ではなく
「子どもたちが学ぶ授業」だったといいます。

だから

“性の授業”では妊娠7か月の本物の妊婦さんを呼び、
“死の授業”では死の淵を経験した
末期がん患者さんを招いて授業をされました。

当時教室に妊婦さんが入ったきた瞬間、

先生がなにも言わなくても
子どもたちは次々に問いかけたそうです。

091222-6.jpg

「そんなにお腹が大きくて苦しくないの?」

「赤ちゃんはどうして水(羊水)の中で息ができるの?」
「逆子は頭が上を向いているのに、どうして“逆”というの?」

こうやって子どもたちが

自発的に興味をもって質問し
学んだことこそが、生きた知識になる。

だからこそ

金森先生はあえて妊婦さんや末期がん患者さんという
とてもリアルな事実を子どもたちの目の前に
突きつけたのです。

自然と子どもたちが学ぶ状況を

つくってあげたんですね。

なるほど、

わたしたち大人だって
一方的な説教を受けるより
じぶんで興味をもって調べたことは覚えます。

ひとになにかを教えるときの

大きなヒントをもらったと思います。

091222-3.jpg

もうひとつ。

先生が児童教育で大事にしていたことに
自然や人との「ボディコミュニケーション」がありました。

いまの子どもたちは

動物的感覚が鈍くなっていると
先生はいいます。

ある日、先生は驚きました。

小学1年生の子が

顔をすりむいて泣いていたそうです。

理由を聞くと

転んだときに反射的に手をつくことができず
顔から地面に突っ込んだという話。

そんなふうに

とっさに手を伸ばすという
基本的な運動神経さえも鈍くなっている
子どもが増えてきたことに先生は呆然としたそうです。

091222-7.jpg

先生の授業では

子どもたちを積極的に自然の中に飛び込ませます。

川原で実習する。どろんこ遊びをする。雪合戦する。

自然の中で行動することで

危険を察知し、危険を避け、危険を予見し
危険を乗り越える力が身につく。

生き抜くための力が養われるんです。

先生はどろんこ遊びのときに

「みんなで抱っこー!」といって
子どもたち同士で抱き合わせるそうです。

これもボディコミュニケーション。

091222-5.jpg

抱き合うことで

友だちの体温を知り、心臓の鼓動を聞く。

そうやって子どもたちは他人の命を実感するんです。

先生はこういう他人の命の肌感覚がない人間が

ひとの命を平気で奪うような殺人者になりかねないことを
教えてくれました。

命の実感という面から考えると

ニワトリを殺して食べるという授業も
納得できます。

金森学級の生徒たちは

じぶんの命をつくるニワトリを屠殺することから
目をそむけずに、堂々と事実と向き合ったそうです。

先生の話をうかがっていると

子どもたちは大人が思っている以上に
しっかりしていることがよくわかりました。

091222-9.jpg

↑ニワトリを屠殺する実習には反対意見もたくさんあります。
先生は辞職をかけてまで授業を実行したそうです。

最後にどうして金森先生は

“命を教える授業”にこだわったのか。

じつは先生は20代のころに

交通事故に遭い、九死に一生を得たそうです。

あと30cm当たるところがずれていたら死んでいた。

そのときにわたしたちの人生に

「明日は約束されていないな」と思ったそうです。

明日終わるかもしれない人生。

一回限りの人生。

だったら、そんなにまわりに気を使わずに

もっとじぶんに素直に生きてもいいんだな、と考えられたそうです。

そのためにはじぶんを助けてくれる人が必要です。

じぶんを応援してくれる人を大事にしなければいけない。
人や社会に対して心をひらかなければ、
応援してくれる人は寄ってこない。

じぶんらしく生きることのすばらしさ。

人や社会とのつながりの中で生きるたいせつさ。

そういうものを子どもたちに教えたかった、

そんなふうにわたしは先生のお話を受け取りました。

091222-4.jpg

ここに書いた以上に

もっとたくさんのことを金森先生は教えてくれました。

ほんとにおもしろい授業でした。

金森先生のお話をこれから何度も反芻して
考えたいと思います。

あらためてお礼をいわせてください。

金森先生、本当にありがとうございました!

091222-2.jpg